私の息子レイ(小学4年生)には発達障害が複数あり、文字を書くことがかなり厳しい状況です。
鉛筆はなかなか正しく持てないし、クーピーは折れまくる。紙を押さえる為の左手がなかなか出てこない。消しゴムで字を消そうとすれば、字が消えずに紙が破れる…。書くことに関しては、苦労が山のようにありました。
一年生のころに、ひらがなを書く練習を親子で一生懸命取り組んでもみたのですが、努力の割には効果が見えず、「これは流石におかしい・・・」と思い、レイが2年生に入ってから学習障害の検査を受けさせると、発達性協調運動障害と限局性学習障害(読み書き計算)の2つの障害があることがわかりました。
今回はこの2つの障害のうち、発達性協調運動障害に対処するために母として実践してみたこと・苦労したことの体験談を紹介したいと思います。(小学校低学年の頃のお話しです)
細かな動き(微細運動)・手と目の協調運動が大苦手
発達性協調運動障害とは簡単に言ってしまうと「極度の不器用さん」です。
レイの場合、手先を使う「微細運動」、そして手と目を連携させて動かす「手と目の協調運動」に特に困難が見られます。
読み書き障害に発達性協調運動障害による手先の不器用さも加わって、実は「書く」という行為はレイにとってとても辛い作業だったのです・・・。
この記事では発達性協調運動障害に対処するために実践・苦労したこと5選を、「微細運動」と「手と目の協調運動」の観点から紹介していきます。
保育園時代の様子
少し余談ですが、小学校に入る前のレイの様子を少しだけ紹介しておきます。
レイは幼児期から家の中でおとなしく遊ぶことがなかなか難しく、癇癪に繋がりやすかったため、思い切り外で遊ばせていました。
好きな外遊びで鍛えたおかげで全身運動(粗大運動)は得意ですが、やはり不器用さはありました。しかし、保育園時代はボタンかけやファスナー、お箸を使うことも年齢相応にできたので、まさか障害があるなどとは思っていませんでした・・・。
以前、作業療法士さん主催のイベントに参加した際に、「粗大運動が育つと、書くための細かな運動のような微細運動が育ちやすい」という話を聞いていたので、発達性協調運動障害の診断を聞いた時には、「幼児期に外で思い切り遊ばせるのは、母の私もとても大変だったのですが、結果的にレイにとっては良い選択だったのだな」と、苦労が報われた想いがあったことを覚えています。
実践その1:鉛筆を正しく持てるサポーターを使う
さて、本題に入りたいと思います。まずは、手先の細かな微細運動の苦手を克服するために実践・苦労したお話です。
冒頭にお話ししたように、レイは文字を書くのが大の苦手です。1年生の頃は、鉛筆の正しい持ち方が定着せず、持ち方を直すのがとても大変でした。
レイは鉛筆の握り方も変な上に、ペン先よりもずっと上の方を持つ癖がありました。
今になって思い返せば、レイは手首をうまく使えていなかったのだと思います。鉛筆の上の方を持つ癖も、その持ち方が一番手首にしっくりくる持ち方だったのでしょう。
口うるさく言っても効果が出ない上に親子で疲労するので、様々なタイプの鉛筆の持ち方をサポートするグッズをかたっぱしから買い、試してみました。
一番フィットしたのが、特別でもなんでもない事務用品のダブルクリップで、なんとも言えない気持ちになったのを覚えています。
一年生の半分くらいかかって、ダブルクリップなしでも正しく持てるようになりました。
実践その2:塗り絵が手首を動かす訓練になる
二年生になり、発達性協調運動障害の診断を受けた後、支援クラスでは「塗り絵名人」銘打って、すき間時間を利用して、事あるごとに塗り絵をさせてくれました。
塗り絵は、塗る時に手首を動かすので、手首を動かす練習にはもってこいでした。
最初は手首ではなく肘で色鉛筆を動かしていましたが、一年ほどで、手首がだいぶ動くようになりました。レイ本人も、塗り絵をしまくったおかげで、手首から先を動かすことがとても楽になったみたいでした。
実践その3:工作で指先のつまむ力をアップ
レイの趣味の一つに、段ボールとカラーガムテープを使った工作があります。
最初は私が作ってあげていたのですが、年長の頃から、何か欲しいおもちゃがあっても買ってもらえない時は、自分で作るようになり今に至ります。
なかなか自分でテープを切れるようにならず、私が切る係だったのですが、二年生くらいには自分で切れるようになっていました。
固い段ボールやガムテープをたくさんちぎることで、指でしっかりとつまむ力や、手首から先を起こす力などがついたように思います。
実践その4:書字指導用のノートで、書字に必要な運筆力をアップ
レイは手と目の連動が難しく、医師からは「極端な言い方をすると、手と目がバラバラで繋がっていません」と言われました。
なので、文字をうまく書くこともできません。そこで、使っているのが以下の書字用の指導ワークです。
このワークは1〜3のシリーズものですが、2・3はレイには難しかったため、シリーズ1をよく使いました。
特に後半部分にある運筆練習には、文字を書くために必要な、線の折り返しや結びなどの運筆練習があり、コピーして何度も取り組みました。
すると、「ん」や「て」などの線の折り返しや、「む」や「す」などの結びがだいぶ上手に書けるようになりました。
書字指導ワークの話は以下の記事でも紹介しています。
実践その5:迷路ゲームで手と目の強調運動を楽しく鍛える
医師曰く、手と目の協調運動の力を上げるのに効果的なのは、字を書く練習よりも迷路に取り組むことなのだそうです。
「複雑な迷路をよく見てその後を手で追う」という作業が、協調運動を育てるのにはとても効果的ということらしいです。
そこで使っているのが、iPadの脳機能バランサーという有料アプリ。
迷路がレベルが上がっていくと結構難しくて、私がやっても面白いなと感じます。
iPad用のペンを使って今もたまに取り組ませています。学習に対して拒否感が強い時でも、ゲーム感覚で取り組むことができて助かります。
別の回でお話ししてきた視覚支援や、今回の不器用に対するアプローチのおかげで、書くことも消すことも、親から見るととても上手になりました。
レイには書字障害の特性もあるので、発達性協調運動障害に対処するための取り組みをしても、やはり文字を書くことはとても大変なことです。今でも「書くことはとても疲れるから嫌い」とレイは言います。
以上が、発達性協調運動障害を持つ息子の母として取り組んだ体験談となります。同じ悩みを持つ保護者の方々に、少しでも参考になれば幸いです。
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