私の長男は現在小学校3年生。自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群)とADHDを持っています。
ADHDの診断は最近追加され、ADHDのお薬であるストラテラの処方を受けていました。(今は別の薬に切り替えています。)
今回は、ストラテラを服用によって見られた息子の様子の変化について紹介したいと思います。
息子の様子の変化の全てがストラテラによるものとは限りませんし、薬の作用・副作用は人によって様々です。
これから子供へストラテラの服用を検討している方に、1つの参考程度でもお役に立てれば幸いです。
医師が息子に接する感じでは、自閉症の傾向の方がADHDより強いと言われています。
ストラテラ服用の効果:計画的な行動ができるように
結論を先に言ってしまうと、ストラテラの服用後、息子はそれ以前よりも・・・
先のことを考えた行動が取れるようになりました。
特に大きな変化が見られたのは、宿題の取り組み方です。
今までは宿題は、放課後デイでもやらずに家で行っていました。
放課後デイの学習時間を、コグトレ等の療育的な学習に充ててもらっていたからです。
18時に帰宅し、食事・お風呂を済ませた後に宿題に取り掛かるのですが、息子はいつもこれを億劫がっていました。
億劫がるというよりも、時間がどんどん過ぎていってしまうのに、宿題が終わっていない事に対して焦って、パニックになるといった感じです。
親にどやされて泣く泣く取り掛かる宿題は、「義務的に鉛筆を動かしているだけ」でそれを理解したり覚えたりすることは夢のまた夢でした。
「それなら、食事の前かお風呂の前に宿題を終わらせれば気が楽なんじゃない?」
「妹たちをお母さんがお風呂に入れている間が静かだからその間にしたら?」
と、息子にもちかけてみたこともあります。
しかし、本人はそういう事でイライラしているのではなかったのです。
「家では100%好きなことをする場所でありたい」
というのが息子の基本的な考え方だったのです。
息子にとって家は「安全地帯」。読書をしたり、ゲームをしたり、妹たちと遊んだり、学校で抑圧されている分、家では自分を出し切ってまったりしたい。
大人の世界でも、「仕事とプライベートは分けている」とか「仕事を家庭に持ち込まない」とか言いますよね。
息子もそれと同じで、学校の事を家にもちこんで時間をかけてやることが我慢ならないのです。
なので結局、宿題は家でも思うように進まず、私が注意してようやく手だけを動かす・・・という有様でした。
しかし、ストラテラ服用して間も無く、そんな宿題の取り組み姿勢に大きな変化が生じます。
なんと、宿題を学校で済ませてくるようになったのです。それを知った私は、「なんとしても宿題を家に持ち帰ることは死守するぞ!」という、息子の確固たる意思を感じました。
そのほか細かいところでも、
など、学校に行く準備も、ストラテラ服用前と比べて自分でやってくれるようになりました。
親の立場としても、毎度毎度どやしつけ、イライラしながら過ごす事がなくなったので、大変助かりました。
ストラテラ服用後の副作用?:精神・感覚の過剰過敏
しかし、ストラテラが直接の原因かわかりませんが、悪いと思えるような変化も現れてきました。
悪い変化もまた、宿題に対する取り組み姿勢に現れました。
息子が宿題を学校でしっかりやるようになったのは、「家で宿題をしたくない!」という強い意志によるものです。
家で宿題をしないためなら、学校で「何が何でも」宿題をこなします。それが別の教科の授業中であろうがお構いなしに。
「宿題を終わらすために、授業中に宿題に取り組み、授業を聞かなくなる」という、あまりにも極端な行動は、担任の先生を困惑させてしまいました。
宿題をこなすために他の授業がおろそかになってしまっては、本末転倒ですよね。
「学校でやるのはすごく良い事だと思うけど、授業中はやめよう。空いている時間にやって、終わらなければ家でやったっていいんだよ?」
こう話すのですが、今のところ本人は100%学校で終わらせることに固執しています。
この気持ちと折り合いをつける事が、今後の課題だと思っています。
私は専門家ではないので、あくまで息子のストラテラの使用感という伝え方になってしまいますが、
「どうしてもやらなきゃ」というような極端な強迫観念にも似た過敏さが見受けられるようになってきました。
特に何かに対して過敏になるというのは、気持ちだけでなく感覚過敏としても現れました。
個室のような音・視覚的刺激の無い所ならかなり集中して勉強ができるのですが、教室など多くの人が集まる場所では、服用前よりも周りの音(隣りの教室も含めて)に過敏に反応するようになりました。
音に過敏になると、イライラと落ち着かなくなりキーキーと甲高い声を上げてしまいます。
担任の先生から連絡を受け、今ではイヤーマフを購入して教室で使わせています。
イヤーマフを持っていることで、実際に周りの音ストレスを軽減できるだけでなく、「困ったらイヤーマフがある」という安心感にも繋がっているようです。
イヤーマフ購入の経過は以下の記事でも紹介しています。
しかし、イヤーマフだけでは根本的な問題の解決にはいたりません。担任の先生によると、日によって、また時間によって、息子の様子には浮き沈みがあるとのことでした。
また、やろうと思ったことを実際やってみると思うように時に、そのジレンマからイライラして大声をあげるようになりました。
例えば、字を書く事を億劫がる息子は、連絡帳を書くことができず、担任の先生や加配の先生が代わりに書いてくれることが多いのですが、書いてもらっているにも関わらず、
「書くな!馬鹿野郎」等と
暴言を吐くようなこともあるそうです。
もう一つ、感覚過敏として、排尿時に、おしっこが数滴パンツに染みてしまった際にそのおしっこで濡れた感覚がどうにも耐えられなくなりました。
替えの服は、いつも持たせているのですが、所かまわず脱いで着替えようとするので、家でも「着替える時はトイレでにしようね」と話しました。
そうしたら今度は、トイレで着替えようとしたのはいいのですが、肝心の着替えの服を持ってきていないのに気づいて、でもその汚れた服をもう着たくないのか、なんと下半身裸のまま、脱いだ服で前を隠して、教室まで取りに戻ったというのです。
結局、ストラテラの服用は止めることに
ストラテラを飲み始めて1か月程は、先生から落ち着きが出てきたと褒められることもあり、「効いてくれてよかった」と安堵しました。
しかし、その後、前述のようなことで先生から指摘を受けることが多くなり、医師に相談することにしました。
ストラテラを処方された当初から、医師からは「息子はADHDよりも自閉症の特性が強いと思う」と言われており、ADHDの薬であるストラテラの効果が落ち着く2か月までは、医師も様子見という感じでした。
しかし、私の報告を聞いて、やはり自閉症のお薬に切り替えた方が良さそうだということで、今はエビリファイという自閉症に処方されるお薬を飲み始めました。
薬だけが原因ではないかも・・・
実は、ストラテラ服用と同じタイミングでもう1つの取り組みを行いました。
その取り組みとは、「ゲーム・スマホ・タブレットの時間を減らすこと!」です。
外出先や病院の待ち時間でもゲームをやりたがるなど、歯止めが効かなくなっていたからです。
そこで、ストラテラを飲み始めたあたりから、ゲーム機や、スマホ、タブレットのゲーム等をする時間をいつもよりも少なめに管理するようにしました。
意外にも特に強い抵抗感もなく、ゲームの時間を元々好きな読書の時間に置き換えるようになりました。
しかし、一度だけ、ゲームを長めに許してしまったことがありました。今思えば、何故時間を約束しなかったのだろうと思うのですが、その際、息子はかじりつくようにずっとタブレット画面をにらみ続けて、気づけば数時間が経過していました。
ここまで紹介したトラブルは、長時間のゲームを許した一週間以内に起きた出来事です。もしかすると上でお話ししたストラテラの副作用・デメリットの内容は、長時間のゲームも影響しているのかもしれません。
薬の効用は、ADHDの程度や家庭環境、その子自身の個性により様々だと思いますが、私の息子の事例が悩んでいる方に少しでもお役にたてば幸いです。
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