小学校中学年

書字障害への作文支援にiPadを活用した合理的配慮の事例【小学中学年の息子のために母親が取り組んだこと】

小学校中学年

現在小4の息子(レイ君)は、複数の発達障害を持っています。その中でも学校生活で特に苦労しているのが、書字障害(学習障害の一種)です。

2年生の始め頃に学習障害の診断を受け、その後、家庭や支援級でリハビリを始めました。

リハビリによって改善は見られましたが、3年生になり授業内容が難しくなってくると、授業を受けるのが相当辛いようで、夏休み前には不登校の予兆が見られるようになりました。

私が息子の学習障害で一番気になったのは、文字をうまく書けないため作文を書いてもいつも超短文になることです。あまりにも短文すぎるため、作文の本来の目的である「文を考え、作ること」まで到達できない状況なのです。

口頭での受け答えは年齢相応で、特に得意な分野に関して説明をさせると、とても上手な子です。検査結果を見ても、言語に関する力が高く長所と言える力なのに、このままではレイの学びが止まってしまう…。

そこで、例えば足が不自由な方に車椅子があるように、書字障害のレイにもそれを補うパソコンやiPadなどの補助ツールを与えようと考えました。

今回は書字障害で勉強が思うようにできない息子のために、パソコンやiPadを学習の補助ツールとして使わせるために実践してみたことを紹介したいと思います。

まずは学校に相談して許可をもらうところから

これに関しては、とてもスムーズでした。

レイが小学校に入学する際に、個別支援教育に篤い近隣の学校を選んで、支援級であることを条件に越境入学していたことが功を奏しました。

学区の学校が個別支援教育に疎く、先生からも生徒や親からも発達障害というものに対して差別感を感じるような学校だったのです。

しかし、支援教育が充実しているとはいえ、授業中にレイ一人だけiPadやパソコンを使って他の生徒と違うことをすると、いじめの対象になるのではないか?とも考えました。

しかし、先生から生徒に対して、「これがレイ君にとって一番良い方法だから、使っているのだよ」と説明してくれて、それで嫌な思いをすることはありませんでした。

こういった交渉が難航する場合は、STRAW-R や URAWSSなどの、読み書きが困難であることを客観的に証明する検査などが必要なのだそうですが、支援級主任からは、「レイくんが一番学びやすい方法で良いですよ」の一言で済ませてくれました。

差別が全くないと言ったら嘘になるかもしれませんが、日頃から支援級だけでなく個別支援教育に力を入れている学校だったため、全校的に「その子に合った対応をするのは良いことだ」という雰囲気があり、しっかりとした配慮をしてくれたのです。

けれども、読み書き障害の指導に詳しい先生はおらず、レイをどう指導したら良いのかは、先生と試行錯誤していくことになりました。

発達障害専門のパソコン教室でタッチタイピング!

2年生の頃、言語聴覚士の先生から、パソコンの入力は50音入力が良いと勧められていたのですが、レイには視覚認知力の発達が遅れもあり、普段から探し物が大の苦手です。

なので、50音入力をしようにも、50音表の中から文字を探す作業が困難であり、タッチタイピングの必要性を感じていました。

タッチタイピングとは

キーボード面の文字刻印に頼ることなく、指先の感覚だけを頼りにしてキーを打つこと。ブラインド・タッチとも言う。

親が教えようとするとレイはいつも態度が悪くなり、喧嘩にしかならないので、パソコン教室を探すことにしました。

調べてみたところ、少し遠いですが同じ県内に、発達障害専門のパソコン教室を見つけました。交渉の末、夏休みに短期集中のタッチタイピングレッスンをしてもらうことになりました。

ローマ字を学校で習う前でしたが、特に問題ありませんでした。そもそも、読み書き障害の子がタイピングを覚える際は、手元を隠して、文字を介さずに、手と音を一致させていくようにするのだそうです。

「あ」は左手の小指でこの位置…という具合です。

3日間でひと通り覚えることができました。

その後は、レイの好みやレベルに合ったタイピングソフトを探し、中古の北斗の拳のタイピングソフトを買い、毎日楽しく練習しました。

iPadを使った読み書き方法を学ぶ

ハイブリッドキッズアカデミーという、学習障害、特に読み書き障害の子向けのiPad教室があり、その夏季集中講座に参加しました。

2日間という短い期間でしたが、遠方からはるばる参加されているご家族がほとんどで、皆同じように悩み、打開しようとされている方ばかりでした。同じ悩みを抱える多くの方と出会えたことそのものが本当に励みになりました。

その時の講座の内容は、「紙と鉛筆を使わずに学校現場で読み書きをする方法」です。

具体的には

  • プリントを写メで取り込み、アプリを使用してテキスト入力し、メールで先生に送信する方法
  • 調べたいことを検索して、読み上げアプリで読み上げてもらう方法
  • 音声入力で作文を仕上げるコツ

など、どれもとても役に立つものばかり。特に音声入力で作文を仕上げるコツは、目から鱗でした。

「、」「。」をいれたい箇所では「てん」「まる」と言い、「改行」と言うと改行してくれて、音声だけでも立派に文章が書きあがります。もちろん、修正には文字入力スキルが要るので、そこで50音入力やタイピングができると、なお良いということです。

そこでタイピングの練習が活かせて、嬉しそうでした。

本人が学べたことはもちろんですが、何よりも親として、学校への提出物のヒントを親が得ることができたことはとても良かったです。

実際にiPadを使って夏休みの宿題をやってみる

学んだタッチタイピング・iPad活用スキルを使って、実際に夏休みの宿題をレイにやらせてみました。

その結果、無事に夏休みの宿題を提出することができました。

国語・算数ともに問題をiPadに取り込み、テキスト入力をしました。

絵日記は、iPadのWordで、絵の代わりに写真を貼りつけて完成させ、全てプリントアウトして提出しました。

ちょっと目立つ提出物でしたが、先生・生徒からも快く受け止めてもらえました。そして、今までできなかった作文がiPadを使ってできたことは、本人の自信にも繋がりました。

この経験を通じて、iPadなどのICTツールは学習障害児の新しい学習の可能性を感じることができました。

とはいえ、なんでもICTを使えばOKというわけでもなく、アナログな手法でもレイに合った学び方もあります。今回、ICTの活用を検討する中で、デジタル・アナログにかかわらず、周りにとらわれずに息子にあった学習法をしっかりと見つけることが大切なのだと強く実感することができました。

〜〜この記事を書いた人〜〜
teru.ko

学習障害をこじらせて不登校の長男とホームスクーリングをしています。今のところ困り感のない次男もおります。ライターとして、まだまだ知られていない学習障害や不登校などの記事を発信して参りたいと思います。

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