私には現在、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)とADHD(注意欠如・多動症)を持つ小学校3年生の長男がいます。
名前は、よしお(仮名)と言います。
今回は、人とのコミュニケーションが苦手だったよしおに友達ができて、少しずつコミュニケーション能力を身に付けることができた体験談を紹介していきます。
発達障害児の人間関係問題はとても難しい問題だと思います。解決するための答えが子供それぞれで違っているからです。今回紹介する私の一例が、子供の人間関係で悩んでいる保護者のために何かお役に立てば嬉しいです。
アスペルガー症候群とADHDの診断
よしおは年少の頃、自閉症スペクトラムのアスペルガー症候群と診断されました。
年少の頃のよしおは、人に全く興味を示しませんでしたが、年中、年長と歳を重ねるにつれ、みんなと遊びたい気持ちが芽生えてきました。
保育園時代のお話は別の記事で紹介していますので、気になる方は是非読んでみてくださいね。
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よしおが、「人と関わりたい」と思うようになったことは、親としてはとても嬉しい一歩でした。
このまま、この病気が良くならないだろうか、と楽観的に考えていました。ですが、残念ながら事は思ったようにスムーズには進みません。
お友達に関わりたい気持ちはあるものの、それをうまく相手に表現できないのです・・・。
小学校に入学してからも、それは変わりませんでした。そして小学校に入ると、学校からの勧めで発達診断を再度受け、診断名にADHD(注意欠如・多動症)が追加されました。
一方的に話して言葉のキャッチボールが成立せず
よしおが相手に気持ちを伝えられない原因は、言葉のキャッチボールに問題が合ったからです。
具体的な問題は大きく分けて2つ。
相手に話しかけられても、興味のある内容にしか返事をしない
自分から話をするときは、自分の話したいことを一方的に話し続けてしまう
興味のある内容にしか返事をしない
よしおは、自分の興味があるかどうかで返事をするしないを決めるところがあります。つまり、興味がある話題には興奮して食いつきますが、それ以外は聞こえていないかのようない極端な対応をするのです。
また、自分が読書や別の物に集中している時は、他者の問いかけや話しかけは耳に入ってこないので、これも相手からしたら「無視された」と受け取られてしまいがちです。そのうえ、何度も声をかけると、全く別の話題を始めたりします。
言葉のキャッチボールに例えると「投げられたボールをキャッチしない(キャッチしても投げ返さない)」、もしくは「明後日の方向にボールを投げてしまう」といった感じでしょうか。
自分の話したいことを一方的に話し続ける
よしおが自分から話を始めるときは、いつも自分が興味のある内容を一方的に相手に話しだします。
・話し相手がその話題に興味があるのかないのか
・そもそも相手が知っている話題なのか
・今はその話題を話していい状況なのか
その場の状況を考えることなく、ひたすら怒涛のように話し続けます。
自分の知識をひけらかしたい、という感じではなく、まるで、ひっくり返した米の袋から米がどっと出てくるように、よしお本人ですら制御できないような勢いを感じます。
そうなったら、相手が相槌を打とうが打つまいが、お構いなしです。
キャッチボールに例えると、「相手が受け取れるかどうかお構いなしに、ボールを矢継ぎ早に投げ続ける」といった感じでしょうか。
いじめ・学校生活でもトラブル多発
そんなよしおの相手をしてくれる子は少なく、基本的には鬱陶しがられます。
放課後に通っていた学童保育(放課後児童クラブ)でも、周りから煙たがられるようになりました。
「〇〇君がいじめてくるから、行きたくない」
と弱音を吐くようになってしまいました。
よしおの特性から考えると自業自得だという事も否めません。とは言え、無理強いするのも本人の精神衛生上逆効果なのではないかと思い、小2の夏で放課後児童クラブから退所することにしました。
しかし、結果的にこれが彼の学校以外での大事な心の拠り所を奪ってしまったようです。
その影響は学校生活に現れました。
次第に、授業中に教室をふらっと飛び出す回数が増えていきました。そして、教室の抜け出し方も過激となり、靴を履いて校庭の隅の方に行ったり、校門を飛び越えて外に出ようとした時もありました。
問題が起こると先生から電話が来るので、先生からの電話があるといつも「今度は何をやらかしたんだろう・・・」と胃が痛くなりました。
しまいには、よしお本人に対するいらだちも涌いてきて、夜も眠れなくなってしまいました。
学校の先生も、よしおの学校での様子は教えてくれるものの、親身に相談に乗ってくれる様子はなく、どうすれば良いのか、夜な夜な、検索魔となり調べては絶望する日々でした。
周りに相談できる人もなく、とても辛い時期だったことを覚えています。
放課後等デイサービスで友達ができた!
そんな折に、保育園時代から唯一親しくしてくれていたママ友から放課後等デイサービスの紹介を受けて、早速見学に行ってみることにしました。
その放課後等デイサービスには、保育園の頃によしおがお世話になった先生がいたこともあり、よしおはすっかり気に入ったようで、放課後等デイサービスを利用してみることにしました。
最近の困りごと・好きなことなど、詳細にヒアリングをしていただき、よしおの療育的な面の達成目標も設定していただきました。
母親の私としても、心を開いて相談できる安全地帯を見つけたような安堵感で、こわばっていた心が落ち着き、利用をしてみて本当に良かったと思っています。
よしおのデイでは、通所してまず1時間程、各自宿題などをする学習時間があります。
それから残りの時間を曜日ごとに違うプログラム活動(ごっこ遊び、集団遊び、体を動かす遊び、クッキング等)に取り組んで、集団の中で、自分の特性とうまく折り合いをつけていく訓練をします。
そういった訓練はよしおの大の苦手なので、最初はよしおがパニックにならないか心配でしたが、実際にやってみると、むしろよしおに大きな大きな成長が見られるようになりました。
その成長の一つは、学校に馴染むことができず、友達のできなかったよしおに気の合うお友達ができたことです。
明らかに日々のテンションが上がり、表情がいきいきとしてきました。その子とは、時々けんかをしながらも、遊びを通してたくさん話し合うことができています。
けんかができる友達ができたことは、よしおが人間関係を学んでいく上で大きなプラスになっていると私は考えています。
コロナ休校の間、デイサービスも休所にせざるを得ない時期がありましたが、
「あぁ、早く(デイに)行きたいな~、〇〇君と遊びたいな!」
という言葉も聞けるようになりました。
放課後等デイサービスの強み「同じ悩みを持つ子が一緒」
よしおに友達ができた背景には、デイサービスには発達障害を持つ子が集まっていることがあります。
同じような特性を持つ子が集まっているので、「自分だけが異質」と見られる学校とは違い、学校では味わえない安心感があるようです。
みんながいろんな事をやらかして、注意を受け、そのたびに気持ちを取り直してまた遊びや活動に戻っていきます。
「学校では、僕一人なんだけど、デイだと、みんなが僕と同じような感じ。」「自分だけじゃないんだ」という安堵感は、よしおを精神的に支えてくれているようです。
このような環境はなかなか見つからないですので、放課後等デイサービスは大変重宝しています。
また、よしおが読書好きなのもあって、デイサービスにある発達障害に関する本をたくさん読んでいます。活字が大好きで大人向けの本でもどんどん読み進めていきます。
「まだ、自分の特性について伝えるのは早いのではないか」という親の心配をよそに、卑屈になることもなく、今のところは冷静に発達障害について理解を深めているようでした。(どれだけ本の内容がわかっているのかは、わかりませんが・・・)
放課後等デイサービスは検討の余地ありかもしれません
現在は、ADHDの症状を改善するお薬を服用しつつ、デイの学習時間にはコグニティブトレーニング(認知トレーニング)を行い、主に対人スキルの向上を目指しています。
実際の対人スキルが向上してくるのはまだまだだとは思いますが、「相手の気持ちを考えてみる」癖が次第についてくれば、コミュニケーションを少しでも円滑にする足がかりになるのではないかと考えています。
家庭や学校であった困りごと、親としての悩み事も、メールや毎日の連絡帳でディの先生と共有することができ、学校と病院以外の、もう少し親子に寄り添った相談場所が増えた事も私たち親子にとってはありがたい変化でした。
もし子供のコミュニケーション能力や、親自身の育児疲れで悩んでいるかたは、放課後等デイサービスという選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか?
一言に放課後等デイサービスと言っても、施設の方針などは様々ですが、事前見学をするだけでも新しい発見があるかもしれません。親にとっても、子にとっても、きっとプラスの一歩を踏み出せるはずです。
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