小学校中学年

学習障害の息子に数の読み方を覚えさせた3つの工夫【算数障害の学習支援の方法を親の立場から考える】

小学校中学年

私は、発達障害を持つ小4の息子(レイ君)を育てている母です。

保育園の年長のころに自閉症スペクトラムとADHDが発覚。さらに小学2年生の時に、学習障害であることがわかりました。

学習障害に関しては、読字・書字、算数の計算や推論に困難を抱えています。

今思えば、レイは就学前「10、11、12」の数字が読めなかったり、物を数える時に飛ばして数えることもよくありました。

就学してからも、知的な遅れがないのにも関わらず、時計が読めなかったり、時間の流れる感覚がわからなかったり、簡単な計算が身につかずに4年生の今もなお、苦労をしています。

親として息子の障害について学びを重ねた今でこそわかることですが、これらはすべて学習障害(のうち算数障害)でよく見られる特徴でした。

今回は、算数障害で数字をうまく読めない(特に桁数の大きな数字)息子のために、実践・工夫したことを紹介していきます。

この記事を読んでほしい方
  • 子供の算数障害(発達障害の一種)に悩んでいる。
  • 学年が上がっても子供が数字をうまく読めない。
  • 算数障害の子を持つ保護者が、どんな取り組みをしているのか参考事例の1つとして知りたい。

数字を読むことが難しい

レイは保育園の年中の頃にひらがなとカタカナを読めるようになりました。

読字障害を持っていた割には、文字を読むことに関しては、早くスムーズだったと思います。

けれども、数字の読みに関しては、就学前までに100まで読めるようになったのも関わらず、なぜか10〜19だけはなかなか読めず、そのまま就学を迎えてしまいました。

「『11は、じゅういち と読む』『12は、じゅうに と読む』とただ単に素直に暗記しまえば良いのに、なぜ飲み込めないのだろう?融通がきかないということなのだろうか・・・」と思いました。

そこで学習障害を疑うようになり、就学直前の1月頃、心理士に学習障害の可能性を相談してみました。

すると心理士からは、簡易的な評価の結果、

「自閉症特有の融通が効かなさなど、他の発達特性のせいで飲み込めないだけで、学習障害ではないと思う。学校で授業を受けてみないとわからない。」と言われてしまいました。

結果的に、いざ小学校に入ると、あっさりと10〜19の数を読めるようになりました。年齢相応のことだったのかな、とこの時はホッとしました。

しかし、学年が進むと次は、桁数の大きい数の読み方につまずくようになってしまいました。例えば、10,300を「せんさんびゃく」と読んでしまうなど、読み間違いが多く見られました。 

なぜ飲み込めないのだろうと考え、次の2つが原因かなと思いました。

原因その1:読字障害の特性として、単純に読み間違える

原因その2:数字を表記するための位取りのシステムが理解できていない

そして、これを踏まえて3つの工夫をしてみました。

工夫・実践その1:読字障害の特性に配慮する

これは学習障害を持つ大人の方に教えていただいたのですが、読字障害の子は、複数の読み方がある漢字をうまく読むことができないことがあります。

それと同じように、位によって読み方が変わってしまう数字も、単純に読み間違えることがあるそうなのです。

例えば「1」という数字は「10」と表記された時に「いちじゅう」とは読まないし、「1,030」と表記されて「いちせん ぜろひゃく さんじゅう」とも読みません。思えば数字の読みはとても不規則です。

読字障害を持つ限り、「数の意味を理解していること」と「音読させた時に読み間違えること」は、切り離して考えた方が良いということがわかりました。

必ずしも「数字を読み間違えている」=「数字のことを理解していない」ではないので、読み間違いがあったからといって、息子に過度な指摘はしないことにしました。

工夫・実践その2:位取りシステムを視覚的に学ぶ

海外の読み書き障害児向けの支援グッズの中に、位取りの理解を視覚的に支援するアイテムを発見しました。数字が書かれたカードで、下の写真のような商品です。

(引用元:USPSHOP

USPSHOPというサイトから購入することができます。

母親の直感で、これはレイに響くと思ったのですが、少しお高かったので100円ショップでカラーマグネットシートを買い、自作してみることにしました。

自作したものがコチラです↓

私の直感どおり、これはかなりの効果がありました。

例えば、写真の下部の「12,594」が、10,000と2,000と500と90と4でできている、というのが、カードを重ねることで視覚的(ここが重要!)に理解できるようになっています。

数の表し方と読み方の法則への理解がとても深まったようで、正しく読める確率がぐんと高くなりました。たとえ読み間違えたとしても、自分でよく考え直して修正できるようになり、数を表記する仕組みを、正しく理解できたことを実感しました。

工夫・実践その3:ゲーム感覚で楽しく練習

3年生の夏頃、レイに不登校の兆候が見られるようになり、学校へ行かないことが増えました。

私は「どうせ学校へ行けないならば、学校へ行っていたらできないことをしよう!」と思い立ち、公共機関を使って毎日レイと出かけてみることにしました。

初めは切符を買わせて移動していたのですが、ADHDをもつレイは、いくら確認してもすぐに切符を失くしてしまいます・・・。

そこで、レイにSuicaを使わせることにしました。すると、Suicaの利用は、思いもよらないところで、レイの算数力UPに役立つことになりました。

Suicaで改札を出入りすると、残額が1円単位で表示されます。レイは、それを通り過ぎざまに一瞬で読むというのが面白いようで、フラッシュカードのようなゲーム感覚で残額を読むようになったのです。

本人も楽しそうだし、Suicaの残額は毎回違う数字になるため何度も楽しめるし、これを繰り返すうちに、どんどん上手に数字を読めるようになりました。

振り返った時に残念だったこと・願うこと

算数障害は広く認知されておらず、まだ指導法も確立されていません。心理士の方ですら、レイが小学校には入る前の当時は、はっきりとした診断が言えない状態だったので、診断が遅れてしまったのは仕方のないことだと思っています。

ただ、レイが小3に入って不登校になる前に、下の算数障害の本を読む機会があったのですが、この本の算数障害を疑うべきチェック項目のなかに「就学前に10、11、12の読みにつまずくこと」という項目があり、「親として違和感には気づけていたのに・・・」と、とても悔しい気持ちになりました。

私が読んだのはこちらの本です。

また、一番先に算数への困難に気づけていたのにも関わらず、どうしても読み書き困難への対処のほうが、優先順位が高く、結果として算数への対処が後回しになってしまったことも、とても残念なことでした。

なぜなら、3年生で国語算数共にレベルもボリュームも上がり、真面目で向上心の強いレイは、算数で神経が疲れきってしまい、それが不登校への最大の引き金になってしまったからです。

一見すると、読めないのは融通がきかないだけに見えたり、読み飛ばしは不注意ゆえに思えたりするので、算数障害のことをしっかりと知っておかないと、専門家や先生でも算数障害を疑うことすらできず、わかってあげることが難しいなと思います。

〜〜この記事を書いた人〜〜
teru.ko

学習障害をこじらせて不登校の長男とホームスクーリングをしています。今のところ困り感のない次男もおります。ライターとして、まだまだ知られていない学習障害や不登校などの記事を発信して参りたいと思います。

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