私には、現在17歳になるADHDの娘がいます。
娘にはADHD特有の空気の読めなさがありました。しかし、空気の読めなさは年齢を重ねるうちに自然と改善されていきました。
この記事では、娘の空気の読めなさが改善されていく様子を娘の成長を追いながら紹介したいと思います。転機は中学生の頃でした。
1つの具体例として、ADHDの空気の読めなさに悩んでいる親の方々の参考になれば幸いです。
【幼稚園】友達とうまく付き合えない
ADHDの診断を受けたのは、小学校一年生のときでした。
幼稚園の頃から、鞄の中はぐちゃぐちゃ。
園からのお手紙をなくす。
忘れ物を繰り返す。
お友達と上手く付き合えない。
一番大きな悩みになっていたのは
「お友達とうまく付き合えない」 こと。
幼稚園の先生から、週に何度もお電話を頂きました。
「他のお友達が遊んでいるオモチャをとって喧嘩になりました」
「お友達同士が、お話しているところに割り込んで喧嘩になりました」
「先生がお話をしている最中に割り込んで、お話を始める事があります」
あぁ・・・空気読めない子だな・・・
幼稚園の間は、その程度にしか考えていませんでした。
【小学校低〜中学年】いじめを受ける
小学生になると、「うちの子は空気が読めない」では、済まされない状況になってしまったのです。
それは「いじめ」でした。
空気が読めないことで、リーダー格のお友達から嫌われるようになってしまい、いじめのターゲットになってしまったのです。
帰りの通学路で、傘を使い殴られたり、虫を食べろと脅された事もありました。
友人にこのことを話たところ
「ひとまず、診断受けてみなよ。診断結果次第で学校の対応も変わってくるから」
そうアドバイスをしてもらい、検査を受けてみるとADHDと診断されたのです。ADHDと診断を受け、いじめの件と合わせて、学校に相談しました。
学校側も、いじめに関しては下校時だったこともあり、気がついていなかったようですが、ADHDかもしれないということには、気が付いていたようでした。
少しでも授業に集中できるように、また、少しでも長く人の話を聞けるように、注意を払ってくださることになり、その点は安心できました。
いじめの件に関しては、私が帰りに迎えに行くという事で回避。
学校で何か起こるようであれば、対処しますとのことでした。
でも根本が治ったわけでもなく・・・
家では、私と夫が話しているところに割って入り、関係のない話をし続ける。
私が誰かと電話をしていても、大きな声で関係のない話をしはじめる。
やめよう!と、提案しても治りません。
当たり前ですよね?
これはADHDという、ひとつの発達障害なのですから。
【小学校高学年】恋の力は凄いけど・・・
小学校の5~6年生になると、少し変化が見られました。
お喋りが減ってきたのです。
それまでは絶え間なく喋り続けていた娘。
少し心配になり
私 「最近、大人しいじゃん?なんかあったん?」
と、聞くと
子 「好きな男の子が、大人しい子が好きなんだって」
恋か・・・恋が娘を成長させたのか・・・
そんなわけありませんでした。
一時的なことに過ぎませんでした。
結局、元の木阿弥でした。
【中学生】子供の様子に大きな変化
中学生になり、割とすぐに気がついたのです。
あれ?最近、話に割って入ってこなくなったな。
私の機嫌が悪い時話しかけてこなくなったな。
夏休みに入って、一緒に過ごす時間が増えてきたのをきっかけに、本人に直接聞いてみました。
すると、中学生になってすぐの頃、先輩にこっぴどく注意されたと言います。
先生や、先輩が話をしている時は、最後まで話を聞く。それが当たり前のこと。
その相手が誰であろうと、どんな気持ち・どんな感情で話をしているのか、また、あなたの話を聞いてくれているのかを、少し考えろと言われたのだそうです。
中学生になると小学生までとは違い、縦割り社会が構築されていきます。
その中で、家族でもなく、友達でもない、縦割り社会のスタート地点で現れる 「先輩」 という存在に、空気を読むことの大切さを教えてもらったのです。
娘はそこではじめて、空気を読むとはどんな事なのだろうと、考えたようでした。
自分が話をしている時、お友達がどんな表情だったか、どんな気持ちで聞いてくれていたのか。
その時にはじめて自分の空気の読めなさを実感し、自分と向き合うことが、できたのではないでしょうか。
きっかけが、中学生になってから訪れたことで、理解ができたというのも、大きな点だと感じます。
もっと小さい頃だったら、何を言っているのだろうこの人は・・・で、終わっていたと思います。
娘の頭と心に、スッと入るタイミングで、そのきっかけが訪れたことに感謝を覚えてなりません。
【現在(高校生)】バイトを始める
進学をせずバイトをして、将来やりたい事が見つかった時に、その道にすぐ進めるように、お金を貯める!
現在、17歳になった娘は、バイト先の方にも恵まれ、毎日楽しくバイトをしています。
本人曰く、バイト先の人に、自分がADHDであることを伝え、何か思うところがあったらすぐに直接言ってもらうようにしているのだそうです。
娘は、年齢・時間を積み重ね、自分の成長と共に、空気が読めないという大きな難点を少しずつ改善することに成功しました。とはいえ、今でも時折、空気が読めない事はあります。
でも私は、焦らず見守っていこうと決めています。
親が手を差し伸べる事が全てではないと思います。
親というもっとも身近な存在よりも、違う視点で注意してくれた先輩には、感謝しかありません。成長過程で、躓き動けなくなってしまったら、その時は私達、親が助けてあげましょう。
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