娘が小2の時でした。
娘が突然、「学校行きたくない・・・」と言い出しました。
「お腹でも痛い?お熱かなあ?」と声をかけた瞬間、娘は思い切り私の髪の毛を引っ張り、背中を引っかきました。
「・・・え?何が起こったの?」
あれ?凄い形相の娘がまた近付いてくる・・・
それは、ただただ恐怖でしかありませんでした。
気がつくと腕を噛みつかれ、分厚い絵本やランドセルを投げつけられ・・・一瞬にして頭の中が真っ白になり、私も怒鳴っていました。
今思えば、怒鳴ったことなんて、なんの価値もなかったのです。
学校と娘の間で板挟みに・・・
大暴れをして私の髪を引っ張り、引っかき、そして腕を噛んだ日から、何日も続けて学校に行くことを拒否した娘。
最初はイジメでもあるのだろうか・・・などと心配しましたが、本人・学校の両方に確認したところ、どちらも問題ないとの話でした。
では何が原因なのか・・・実は物凄く単純だったのです
「ただ学校にいきたくないだけ。気分が乗らない」
ただそれだけだったのです。
学校へ「おやすみさせてください」の電話をかけること3日。
先生から言われた言葉は
「そろそろ引きづってでもいいから連れてきてください。じゃないと困ります。」でした。
困ります・・・?
え?困っているの・・・私なのですけど?
正直怒鳴りそうになりました。
不登校が始まってまだ数日目の事です。
ぐっと堪えて、私が小脇にランドセルを挟み、子供の手を引っ張り、無理やり登校していました。
歩道の真ん中で「行きたくないよ」と泣き叫ぶ娘。
心が痛むのです。
私も泣いてしまいそうなのです。
こんなに嫌がっているのに、無理やり登校させる事が本当に正しいのか・・・
どうしてもその答えが私にも、相談した家族にも見えてきませんでした。
自閉症のグレーゾーンとの診断
無理やり学校へ行かせることに抵抗を感じた私と夫は、小児心療の専門家の先生がいる病院に予約を取り、WISCという発達障害のテストを受けることにしました。
すると案の定・・・、自閉症のグレーゾーンと診断されました。
そこで、先生に
の上記2点について、質問をしてみました。
お医者様からの回答は
「無理に行かせない方が良い。余計に反発し心が締め付けられ、行きたくないという気持ちが大きくなる。」
「暴力はあくまでも、意志表現のひとつである。普段の学校生活などで、無理やり押し付けている自分の感情を、お母さんにぶつけているだけ。受け止めてあげましょう。」
との事でした。
私は、精神的に限界でした。
学校と娘との板挟み・・・日常になりつつある暴力。
何も考えたくないと感じ、自然と涙が止まらなくなるほど、私は追い詰められていました。
学校から「お母さんの精神状態が安定しないから、それを感じた子供に影響が出ているのではありませんか?」と言われた時には、絶望すら感じました。
え?私が悪いの?
私が娘を苦しめているの?
発達障害も、不登校も私のせい?
その頃から私は壊れてしまったのだと思います。
私自身が、心療内科に通う日々が始まったのです。
支援機関への相談によって問題は大きく前進
そんな時、学校・お医者様の双方から「行政が運営している支援機関に相談をしてみたらどうか?」と打診があったため、その支援機関へカウンセリングを申し込んでみました。
昨今、同じような悩みを抱えたお母さんからの相談が多いそうで、申し込みからカウンセリングまで、1ヶ月ほど時間がかかりました。
実際のカウンセリングは、親子別々の部屋で行われ、娘は、家族以外の人との接し方、親とのコミュニケーションのとり方などを質問されながら、折り紙を折ったりなどしていたそうです。
私は、カウンセラーさんに、発達障害の診断内容、不登校はいつからか、子供とのコミュニケーションはどのようにしているか等の質問をされ、一通り質問に答え終わった時、カウンセラーさんの前で号泣してしまったのです。
「娘の不登校は私が原因ですか?」
「発達障害も、私の接し方が悪いからですか?」
「無理やり引きづって連れて行かなきゃダメですか?」
ほぼ叫んでいたと思います。
心からの叫びが言葉として、口から出た瞬間でした。
すると
「お母さんは悪くないですよ。娘さんもお母さんも悪くない。」
肩を擦りながら、一生懸命励ましてくださったのです。
そして
と、アドバイスをくださりました。
あぁ・・・私のせいじゃない・・・
ただただ、安堵したのです。
スッと、私に覆いかぶさっていた「何か」から解放された気がしました。
発達障害をもつ子供が一番不登校になりやすいタイミングは、長期休み明けだと教えて頂きました。
娘も小2の夏休み明けから、不登校が始まっていたので、そこで初めて「私の娘は本当に発達障害なのだな・・・」と、納得できたのかもしれません。
しかし、カウンセリング後に、学校へ電話をし、無理やり学校に行かせない方が良いと言われた事をつたえると
「でも・・・学校へは連れて来てください。それが娘さんの為です。学校は行かなくてもいい所だと思ってしまう」
学校は、不登校の子供がいるという事実を無くしたいのです。聞く耳をもってくれません。
私は、これ以上学校と話しても理解してもらえないと判断して、カウンセラーの方から学校に話をしてもらう事にしました。
そこから1ヶ月半、不登校は続きました。
不登校改善のためにやってみたこと
私が不登校改善のためにしたことは、下校時刻が過ぎ、生徒が1人もいない学校に、散歩をしながら、娘を連れて行くことでした。
通学路に咲いている小さな花を見つけたら
「これなんの花かなあ?見たことある?」
と声をかけたり、アリを見つけたら
「見てみて!アリさんが列作って歩いているよ」
と声をかけてみたり、少しずつ、一歩一歩着実に通学路を通って、学校までたどり着く・・・それを習慣化することにしたのです。
「学校まで散歩してみよう!」
ストレート過ぎて、娘は耳を傾けてはくれませんでした。
よし!言い方変えてみよう!
「ねえ、お母さんと一緒に秋みつけをしに行こう」
これは成功でした。
夏休みが終わり、不登校になり、もう秋はそこまで来ていました。
まだ見た事のない草木、小さな虫が一生懸命生きている姿、子供達が居ない通学路・・・全てが刺激になったのだと思います。
ある朝
「お母さん!学校行くから途中まで一緒にきて!」
と、元気いっぱいに言ってくれました。
通学路の途中まで手を繋ぎ、通学路の街路樹を2人で眺めながら歩きました。
「急に嫌になったら先生に言ってね。迎えにいくからね」
と、声をかけると
「わかった!行ってきまーす!」
繋いでいた手を離し、大きく手を振って学校へ行き、迎えに来て欲しいという連絡はありませんでした。
「誰か」に相談することの大切さ
年に数日、学校へ行きたくないと言うこともありますが、以前のように何日も、休むということはなくなりました。
行きたくない気持ちが強い日は、無理やり行かせない。
気持ちが穏やかだけど行きたくない日は、「途中まで一緒に行こうか!」と声をかけることで、学校へ行くことができています。
あの時もし支援機関に相談をしていなかったら、現状はもっと違っていたでしょう。それも、おそらく悪い方向に・・・。
自分のお子様の不登校、発達障害などで悩んでいる方は、迷わず「誰か」に相談してください。
一人で抱え込むことはないのです。
辛い時は辛いと、苦しい時は苦しいと吐き出さないと、自分に負の気持ちが、雪崩のように押し寄せてきます。
押し潰されてしまったら、抜け出すことは大変だと思います。
お母さん、お父さん
不登校も発達障害も、あなたのせいじゃない。
逃げに聞こえるかもしれませんが、絶対に心の片隅にこの言葉を忘れず、お子さんと向き合ってみてください。
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