私は2児の母で、小学4年生で長男のレイは発達障害を持っています。
具体的には、ADHD,自閉スペクトラム症、限局性学習障害(読み書き計算)、発達性協調運動障害があります。
学習障害の「読み」障害に関しては軽度。しかし「書き」と「計算」障害に関しては割と厳しい特性を持っています。
ひらがなを書けるようになるまでだいぶ苦労しましたが、いくつか工夫をすることで、なんとか、読める字が書けるようになった体験談です。レイが小学1年生の頃、まだ学習障害の検査を受ける前のお話です。
工夫1:ノートのマス目に色を塗る
レイは一年生になりたての頃、プリントやノートのマスや罫線を無視して、文字を縦横無尽に書いていました。
最初は「ここに書くんだよ」とか「はみ出さないようにね」など、普通の声かけをしてみましたが、効果がありません。
とても驚きましたが、ひょっとしたら、字を書くことに一生懸命になりすぎて、線にまで気をつけていられないのではないかと思いました。
もっと目立つようにすれば目に入りやすくなるかもしれないと思い、まずはマスの外枠を色ペンで囲ってみました。
すると、マスの内側に書くことはできるようになりました。
ですが今度は、マスの中の罫線を意識して、バランス良く書くことができません。マスの中のとんでもない場所に書きます。
「この線はこの半分の線(罫線)よりも、ちょっと上から書き始めるんだよ」と言っても、書けません。
とても困ったので、いろいろインターネットで調べてみたところ、「カラーマスノート」という商品を見つけました。
このように色を変えてアプローチしてみたらわかるのかもしれないと思い、その商品を真似して、マスの中の4分割された箇所をそれぞれ4色に、1マス1マス色鉛筆で塗ってみました。
そして「この線はこの黄色いマスから書き始めて、青いマスまで伸ばすんだよ」と言うと、マスの中にバランス良く書けるようになりました。
コツを掴むまでの最初の1、2ヶ月くらいは色塗り作業が大変でしたが、それ以降は
マスの外枠や中身を塗らなくとも、書くべき場所や大きさバランスを意識できるようになりました。
工夫2:書き順は気にしない
また、レイはどうしても書き順が身につきませんでした。
これは小4の今でもそうです。
最近になって医師から、
書字障害の子は、最終的には「正しい書き順で書く」ことよりも、むしろ「いつも同じ書き順で書く」ことの方が大事(手を動かす運動感覚で覚えられるから)だとアドバイスを受けましたが、この頃はまだ検査を受けるずいぶん前で、そのような専門的なことは知る由もありません。
私自身、書道を習っていたので、書き順には意味があるし、とても大事だと思い、だいぶ粘ってあれこれと工夫をしました。
しかし、あまりに身につかなく、毎日親子でイライラと宿題に取り組む様子を見兼ねた主人から、
「見た目が整っていれば良いのだから、書き順は捨てよう」と言われ、渋々諦めました。
後年医師からも同じアドバイスを聞いた時、書き順へのこだわりを早く私が捨てられて、本当に良かったのだなと思いました。
工夫3:線を書く方向をマークで示してあげる
下から上へ、右から左へと書くことが多々あり、これもとても驚きました。
これに対しては、先の書き順を覚えさせようとするのと同じ目的で、書き始める点をマークしました。
これをすることで、書き順へは効き目がありませんでしたが、左から右へ、上から下へと筆を運ぶという書く基本が身につきました。
工夫4:一画ごとに違う色で書く
レイは、文字を書くとき、線がクロスことを認識することができません。
例えば✖️を書くとき、普通の感覚ならば線2本をクロスさせて書くと思うのですが、レイは4本の線を、中心に集めるようにして書きました。
そんな感じで「と」という字も、まずは「v」を書いてから、その下に曲線を足します。
これも最近になって医師から、「読み書き障害の子によくある」と言われましたが、当時は知る由もありませんでした。
これに対しては、一画ごとに色を変えて示して、交わっているように見えるよう色の違いで視覚的に支援をしてみました。
すると、ひらがなカタカナの合計100個の文字に関しては、こう成り立っているのだと覚えられたようで、おかしな方向へ筆を運ぶことはなくなりました。
工夫5:罫線が十字線ではなくて対角線のノートを使う
一年間毎日、一生懸命練習した結果、美しい字には届きませんが、間違いのない字を書けるようになりました。
しかし、でもどうしてもクセのある字が直らなくて、インターンネットで調べたら、作業療法士さんが出している以下の書字ワークを見つけました。
この書字ワークは、罫線が十字線ではなく対角線の斜めに×の形で引かれており、お手本の字もちょっと変わっているものでした。
そして、その本に例えで出てくるクセのある字は、まさにレイが書く字にそっくりでした。
斜めの線が書けず、小さく膨らませるところと大きく膨らませるところが逆になる、線の折り返しが苦手…など、レイと同じ字を書く子がこんなにいるのかと驚きました。
そのワークで試しにちょっと書かせてみたら、すぐにちゃんとしたバランスの文字が書けました。
もっとこのワークに取り組ませたかったのですが、この時は既に一年生の学年末。
まだ小さい下の子を制しながら、毎日2時間半かけて宿題に取り組むという、かなりハードな毎日に、親子で疲れ切っていました。
また、2年生にもなり、間違った字を書いているわけでもなかったので、綺麗な文字を書くことに対してそこまで時間と気力体力を割けず、結局あまり使えずじまいでした。
取り組まなくなると、全部ではないのですが、元の字に戻ってしまうものも多くありました。
あんなにひらがなを書く時間が取れた一年生の時期に、このワークに出会えていたならば、もう少し効果が出ていたのかなあと…結局のところわからないのですが、今も残念な思いになることがあります。
まとめ
一年間、毎日これだけの練習を重ねて、決してとても美しい字ではないけれども正しい字を書けるようになれた…と思っていました。
しかし、学年度末に返却された提出物を見て、ひらがなが全く書けていないことに気付きます。ADHDで気持ちにオンオフがあるとしても、できない時のレベルがあまりに酷過ぎました。
これだけの努力と工夫を重ねてきて、全くひらがなが書けないのは流石におかしいと思い、学習障害の検査を受けることになります。
そして、検査結果を踏まえて、調子が悪い時でもちゃんとひらがなが書けるよう、さらなる工夫を実践してみることにしたのですが、そのお話はまた別の機会でお話しさせていただこうと思います。
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